研究室紹介


明治大学理工学部情報科学科
井口 幸洋(コンピュータ設計研究室)


コンピュータや組込み機器のデジタル・システムを設計するための基礎理論を研究している.

主な研究テーマ

  1. 新しいタイプのプログラマブル論理素子.
  2. 信号処理に関する研究.
  3. 論理関数の表現法.
  4. FPGA(書換え可能なLSI)を用いた専用ハードウェアの開発.
  5. メモリのテストに関する研究.
  6. スペクトル変換の応用.
  7. 天体観測支援のための研究.
  8. 高齢者福祉に関する研究.

新しいタイプのプログラマブル論理素子

笹尾教授をリーダーとする研究グループ(文部科学省 知的クラスタ創生事業)で,井口も実装やアーキテクチャの面でアイディアを 出して共同研究を行っている. この方法はLUTカスケード法と呼ばれ, 以下の特徴を有する. 1. 論理関数をRAM/ROM のカスケードで表現する. 2. 上のカスケードをメモリとシーケンサで模擬する. 3. 配線部分は, 直接実現せず制御部で仮想的( ソフトウエア的) に行う. 4. 制御部は, 関数に応じて書き換える. これにより, 配線の問題が解決できる. 従って, 設計者は, 論理設計に集中でき, 回路の段数の削減と, ROM/RAM 容量 の削減が問題となる. LUT カスケード法は, 「ソフトウエア」と「ハードウエア」の中間の性質をもつ. つまり, 「メモリ部分を書き換える」という意味では, ソフトウエアの性 質をもつが, 「配線を記憶する制御部を書き換える」という意味では, FPGA などのハードウエアの性質をもっている. ただし, 設計は, 従来の論理回路やプログラムの設計法とは根本的に異なる手法(BDD を用いた関数分解) を用いる.

信号処理に関する研究.

 信号処理の高速化,高精度化などのために以下のような研究を行っている. 1. 信号処理の基本処理であるFIRフィルタをLUTカスケード法を用いて実現する. 従来の方法に比べコンパクトにタップ数の多いフィルタを構成できる. 2. 高速信号処理,高精度計算,会計処理などでは2進数以外のp進数やRNS(Residue Number System)などが用いられている. 2進数と2進数以外の進数とを変換する高速な基数変換回路の構成法の提案を行っている.

論理関数のための表現法.

 論理関数の表現法には,真理値表,論理式,決定グラフなどがある.決定グラフは,実用に用いられる論理回路を効率よく表現できる形式として 多用されている.BDDを拡張することにより有用な性質を持つ決定グラフの提案を行う.例えばKleene TDDは,0, 1, unknownの3値をコンパクトに表 現できるので精度の高い論理シミュレーションに用いられる.

FPGA(書換え可能なLSI)を用いた専用ハードウェアの開発.

FPGA(Field Programmable Gate Array)は,書換えが容易であること,並列処理を容易に実現しやすいことなどの優れた特徴を持つデバイスである. これを搭載した専用システムや組込みシステムを構築している.主なテーマとして, 1. PLC(Programmable Logic Controller)のFPGA向けアーキテクチャの提案と実装, 2. 巡回セールスマン問題を解くためのアクセラレータの研究 を行っている.画像処理や認識へのFPGAの応用研究も始めている. また, FPGAを気軽に使えるための教育にも力をいれている.教材作りも教員と学生が一体となって行い,FPGAボード上に簡単なTVゲームを作るコンテスト を毎年3年生に研究室内で行っている.

メモリのテストに関する研究.

 メモリ・テスタのテストパターン生成回路の研究,Walsh変換を応用した診断方法の研究を行っている.

スペクトル変換の応用.

 論理関数のスペクトルを解析することにより,論理関数の大域的性質が明らかになり,それを用いて能率の良い回路を設計できる. これは,アナログシステムの設計や解析にスペクトラル解析が有効であるのに似ている. Walsh変換を高速に行うハードウェア・アーキテクチャの研究を行っている.

天体観測支援のための研究.

流星の自動観測システム,太陽黒点データ処理支援システムなどを提案してきた.今年度は, 惑星の写真の処理について従来より 高速度に画像処理をする方法の研究を始めている.

高齢者福祉に関する研究.

 日本は高齢化社会を通り越して,高齢社会の仲間入りをしてしまった.一人暮らしの高齢者,高齢者のみの世帯などは,突然の アクシデントに対応できず手遅れになる危険性が高い.CCDカメラを用いながらプライバシーにも配慮し,子供世帯・高齢者両者が 苦にならないコミュニケーションをとれる高齢者支援システムの研究を継続している(旧雑談システム).

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